秋谷の立石(撮影:2010年11月29日)


1)横須賀市秋谷。秋谷海岸から立石を望みます。


2)秋谷海岸から立石を望みます。後方の岩場は梵天の鼻です。


3)秋谷海岸から立石を望みます。地層は、葉山層群立石凝灰岩層とされます。


4)国道134号線「西海岸通り」から、神奈川県立「立石駐車場」へ入ります。


5)国道と駐車場の間にある建物は、ヤマト運輸葉山研修センターです。


6)立石駐車場の端に『かながわの景勝50選・秋谷の立石』石碑があります。


●神奈川県・かながわの景勝50選『秋谷の立石』

JR逗子駅または京浜急行新逗子駅から長井行きのバスに乗り、30分ほど揺られると、三浦半島西海岸で、「長者ヶ崎」の南に続く秋谷海岸がある。入り江や岩礁など、変化の多い海岸線を持つ三浦半島のなかでも、比較的単調で、女性的ななだらかな弧を描いた海辺を作り出している。

その単調な海辺に、ひときわ異彩を放っているのが、秋谷の立石と名付けられた高さ約12メートル、周囲約25メートルの巨岩であろう。海岸に近い海中に孤立して、足元に広がる岩礁とともに波に洗われ、古くから秋谷海岸の景勝とされてきた。

この秋谷の立石が、最も美しい姿を見せるのは、やはり朝と夕であろう。朝方は、光る波に反射して、岩の半分が金色に輝き、夕方は、眺める角度によって、沈む太陽と重なり合い、夕日に染まった朱色の海に黒いシルエットを描き出している。

江戸時代の風景画家として良く知られている初代安藤広重(1797~1855年)は、この秋谷の立石の景勝がいたく気に入ったと思え、「相州三浦秋屋の里」という題の浮世絵をのこしている。

また、明治四十一年(1908年)に書かれた泉鏡花の「草迷宮」は、この秋谷海岸一帯を舞台にしたもので、鏡花特有の幻想的で美しい世界を描いている。


7)立石駐車場から見た立石です。


8)立石の周辺は、横須賀市立「立石公園」として整備されています。


9)横須賀市・横須賀風物百選『立石』説明板

波打ち際に空へ向かって突き出ている巨岩を「立石」と言い、同時に、この付近の地名をも立石と呼んでいます。

この巨岩は約二千五百万年前、海底に積み重なってできた地層が固まって、長い間、波に削られてできあがったものです。地層は凝灰岩で、高さ約十二メートル、周囲約三十メートルです。

「立石」は奇岩としての価値よりも、「立石」の先に張り出ている「ぼんてん」と呼ばれる岩場と、そこに自生する松、さらには海をはさんで、丹沢・箱根・伊豆の連山や、その上に浮き出た富士の借景により絵画的な構図に真価を見いだせます。伊勢の二見が浦の夫婦岩も同じことで、二つの岩を結ぶしめ縄と、その間から昇る真紅の朝日があって、初めて夫婦岩が生きてきます。

江戸時代の風景画家、初代安藤広重は、ここ立石の絶景を「相州三浦秋屋の里」と題して描いています。

この「立石」の風景は、空気の澄んだ晩秋から冬にかけてが最高です。その季節になると、アマチュアカメラマンが「立石」に落日のかかるのを辛抱強く待ちかまえている姿を多く見かけます。


10)立石公園のベンチ。


11)立石公園から、梵天の鼻と富士山を望みます。


12)立石公園の四阿。


13)立石公園の泉鏡花文学碑『草迷宮』

大崩壊(おおくずれ)の巌(いわお)の膚(はだ)は、春は紫に、夏は緑、秋紅(くれない)に、冬は黄に、藤を編み、蔦(つた)を絡(まと)い、鼓子花(ひるがお)も咲き、竜胆(りんどう)も咲き、尾花(おばな)が靡(なび)けば月も射(さ)す。


14)立石公園から北に、大崩れと呼ばれる長者ヶ崎方面を望みます。


15)立石公園から南に、秋谷漁港方面を望みます。


16)立石公園から南に、荒崎方面を望みます。前画面の右になります。


17)立石公園から見た立石です。


18)最後に、立石と梵天の鼻を北側から遠望します。


19)付録:立石公園内の神奈川県『長者ヶ崎~天神島の地形・地質』説明板

長者ヶ崎~天神島周辺では、さまざまな地形や地層を観察することができます。この地域では、波浪と土地の隆起によって作られた浸食地形や砂浜などの地形が発達しています。また、この地域の岩盤は、およそ1500万年前に海底で堆積した葉山層(群)や、およそ1200万年前から300万年前に同じく海底で堆積した三浦層群と呼ばれる地層からできています。ここでは関東ふれあいの道「佐島・大楠山のみち」で観察できる主なものを紹介しています。

◆長者ヶ崎
波浪の浸食によって作られた海食崖が発達しています。長者ヶ崎の岩盤は三浦層群逗子層で、おもに泥岩からできており、固結した火山灰である凝灰岩をはさみます。崖には小さな断層が多数見られます。

◆子産石
秋谷周辺の海岸や地層からは、子産石と呼ばれる球形の石が多数産出し、安産のお守りとされています。子産石の正体は堆積物中で特定の物質(炭酸カルシウムなど)が集まって二次的に形成された硬い塊で、ノジュールと呼ばれます。

◆立石
立石をつくる岩石は、固結した火山灰である凝灰岩からできており、方解石などの鉱物が脈状に発達しています。地震や地殻変動によって海底に堆積した地層が隆起し、波浪や風の作用で浸食された結果、現在の地形が作られました。

◆天神島・笠島
天神島や笠島では、三浦層群が露出しています。地層の中には近くで巨大噴火が起こったことを示す火山豆石や、水の流れによって作られた斜交層理が見られるほか、地殻変動によって上下が逆転した地層を観察することができます。


後編「長者ヶ崎」もご参照ください。


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