ミトコンドリア・イブ


■ミトコンドリア・イブ

1987年、アメリカのアラン・ウィルソンらは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリア、アメリカの147人のミトコンドリアDNAを使った調査の結果を公表しました。その結論は、これらすべての人々が約20万年前のアフリカにいた女性ミトコンドリア・イブの子孫であるという衝撃的なものでした。

図は、スペイン王立エル・エスコリアル聖ロレンソ修道院附属図書館の蔵書の挿絵『アダムとイブ』です(Wikipediaより)。


■ミトコンドリアDNA

ミトコンドリアDNAは必ず母親から子供に受け継がれ、父親から受け継がれることはありません。したがってミトコンドリアDNAを調べることで、母親からその母親への家系を調べことができます。父親をたどることはできません。またミトコンドリアDNAは組換えを経ることがなく、個々人のミトコンドリアDNAの違いは突然変異のみによると考えることができます。突然変異の発生頻度は経過した年月と相関するので、二つの人種間でDNA配列がよく似ているということは、より最近にわかれた人種であることを示し、あまり似ていない配列は古い時代に別れた遠い人種である、という原理が成り立ちます。

図は、ミトコンドリアの透過電子顕微鏡像です(Wikipediaより)。


■系統樹

カリフォルニア大学バークレー校のレベッカ・キャンとアラン・ウィルソンのグループは、できるだけ多くの人種を含む147人のミトコンドリアDNAのDNA配列を解析し、系統樹を作成しました。すると、人類の系統樹は二つの大きな枝にわかれ、ひとつはアフリカ人のみからなる枝、もう一つはアフリカ人と、その他人種からなる枝であることがわかりました。


■アフリカ単一起源説

この結果は、全人類に共通の祖先がアフリカにいたことを示唆します。全人類とは言っても調べたのはミトコンドリアDNAなので、全ての人類の母親をたどると、一人のアフリカの女性にたどり着くことになります。そのような女性がいつごろ存在したかについて、キャンらは突然変異の蓄積の速度を仮定して計算を行い、人類の仮想上の共通の母親は約20万年前に存在したと結論づけました。

図は、ミトコンドリアDNAから推定された人類伝播の経路と年代です(Wikipediaより)。


■イブの子孫の先祖たち

この成果が述べているのは、「すべての人類の母方の家系をたどると、約20万年前のたった一人の女性ミトコンドリア・イブにたどりつく」ということです。「すべての人類は約20万年前のたった一人の女性ミトコンドリア・イブからはじまった」という表現は適切ではありません。一人の現代人の先祖をたどると、世代を遡るごとに人数が倍増します。このなかで、母親の母親は世代ごとに常に一人だけです。


【グレゴリウス講座について】

当サイトの「グレゴリウス講座」は、関心を持ったテーマをミニプレゼンテーションにまとめることを試みています。内容の妥当性を心がけていますが、素人の判断の域を出ませんので、ご了承ください。

このページの作成には、画像も含め、おもにWikipediaを利用しました。ただし、忠実な引用ではない場合があります。


◇HOME:グレゴリウス講座