鎌倉五山


■鎌倉市観光協会『鎌倉五山』

鎌倉五山とは、建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺の五カ寺です。いずれも栄西禅師が開いた禅の教え、臨済宗の寺です。五山の制度とは各寺の格を定めるもので、北条氏が中国にならってはじめたとされます。最初は明確ではありませんでしたが、鎌倉幕府が滅びたのち、京都を中心とする順位が定められました。京都の南禅寺・東福寺・建仁寺と鎌倉の建長寺・円覚寺で五山とされた時代もありました。現在の五山の順位が定められたのは室町期、足利義満の時代のことです。


■鎌倉五山の立地

国土地理院の航空写真に、五山の位置をプロットします。建長寺・円覚寺・浄智寺の三カ寺は、父の北条時頼と子の時宗および宗政を開基とする寺で、山ノ内の鎌倉街道に面して並んでいます。寿福寺は、山を隔てた南側、扇ヶ谷に位置します。浄妙寺は、これらと離れて、東の金沢街道沿いにあります。


■伽藍配置

写真は、勝上嶽展望台から望む建長寺の伽藍配置です。総門・三門・仏殿・法堂・方丈が直線的に並び、典型的な禅宗様伽藍配置とされます。


■略年表

各寺の成立順序を見ると、鎌倉に武家政権が確立して後、五山のうちで最初に創建されたのは足利義兼を開基とする第五位の浄妙寺です。源頼朝が没すると、その菩提を弔うために、妻の北条政子によって第三位の寿福寺が建立されます。国内初の本格的禅宗寺院である第一位の建長寺が創建されるのは、それから半世紀後になります。第二位の円覚寺と第四位の浄智寺がこれに続きます。以下、創建の順序に従って、各寺の由緒をたずねます。


■第五位「浄妙寺」

浄妙寺(じょうみょうじ)は、文治四年(1188年)の創建です。本尊は釈迦如来、開基は足利義兼、開山は退耕行勇(たいこうぎょうゆう)です。初めは極楽寺という真言宗の寺院でしたが、元弘元年(1331年)に足利尊氏が父の貞氏を葬ったのを機会に増築し、浄妙寺と改めました。臨済宗に改宗されたのは、足利義氏の頃とされます。

治承四年(1180年)、源頼朝が伊豆で挙兵すると、足利義兼は早くから頼朝に従いました。翌年、頼朝の仲介を受けて北条政子の妹と結婚します。足利氏は、清和源氏の一族である河内源氏の流れを汲み、鎌倉幕府においては御家人であると同時に将軍家一門たる御門葉の地位にありました。室町時代になると、嫡流が足利将軍家として天下を治めることになります。


■第三位「寿福寺」

寿福寺(じゅふくじ)は、正治二年(1200年)の創建です。本尊は釈迦如来、開基は北条政子、開山は明菴栄西(みんなんようさい、みょうあんえいさい)です。

源頼朝が没した翌年、その菩提を弔うため、妻の北条政子が栄西を開山に招いて創建しました。寺が立地するのは、奥州征伐に向かう源頼義が勝利を祈願したといわれる源氏山を背にした、源氏伝来の地です。この地には、頼朝の父源義朝の旧邸がありました。


■第一位「建長寺」

建長寺(けんちょうじ)は、建長五年(1253年)の創建です。本尊は地蔵菩薩、開基は鎌倉幕府五代執権の北条時頼、開山は蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)です。

承久の乱(1221年)を経て北条氏の権力基盤が安定し、当時は鎌倉が事実上、日本の首府となっていました。北条時頼は熱心な仏教信者であり、禅宗に深く帰依していました。建長寺の創建は、そうした時頼の信仰に基づくとともに、北条氏の権勢を誇示するものでした。さらに、海外渡来の最新文化であった禅宗の寺を建てることによって、京都の公家文化に対抗しようとしたとも見られています。


■第二位「円覚寺」

円覚寺(えんがくじ)は、弘安五年(1282年)の創建です。本尊は釈迦如来、開基は北条時頼の嫡男で鎌倉幕府八代執権の北条時宗、開山は無学祖元(むがくそげん)です。

北条時宗は、モンゴル帝国の日本に対する圧力が高まるなかで執権に就任し、内政にあっては得宗権力の強化を図る一方、圧倒的に国力の勝るモンゴルの二度にわたる侵攻を退けました。円覚寺は、元寇の戦没者追悼のため、中国僧の無学祖元を招いて創建されました。


■第四位「浄智寺」

浄智寺(じょうちじ)は、弘安六年(1283年)の創建です。本尊は阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来の三世仏で、過去・現在・未来を象徴します。

北条時頼の三男である北条宗政が弘安四年(1281年)に二十九歳の若さで没しました。宗政婦人は一族の助けを得て寺を起こし、亡父と幼少の師時を開基としました。

当初開山には日本僧の南洲宏海(なんしゅうこうかい)が招かれますが、任重しと身をひき、師である南宋の大休正念(だいきゅうしょうねん)を迎えて入仏供養をおこない、すでに世を去っていた南宋の高僧兀菴普寧(ごったんふねい)を開山としました。


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このページは、グレゴリウス写真館「鎌倉幕府」<鎌倉五山>シリーズのプレゼンテーションとして作成しました。

テキストの作成には、鎌倉市観光協会サイト、寺院のホームページ、ウィキペディア、その他を利用しました。ただし、忠実な引用ではない場合があります。


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