トロイア戦争


■ヘレネーの略奪

トロイアの王子パリスは、女神アプロディーテーの誘いによって、スパルタ王メネラーオスの妃ヘレネーを奪い去ります。

図は、ルーブル美術館所蔵『ヘレネーとパリス』です。


■トロイア遠征軍

スパルタ王メネラーオスは、兄でミュケナイの王アガメムノーンに事件を告げ、オデュッセウスとともにトロイアに赴いてヘレネーの引き渡しを求めます。パリスが拒否したため、アガメムノーン、メネラーオス、オデュッセウスはヘレネー奪還とトロイア懲罰の遠征軍を組織します。アキレウスは、友人パトロクロスと共に、ミュルミドン人たちを率いて遠征軍に参加します。


■九年間の対峙

アガメムノーンを総大将とするアカイア人の遠征軍は、トロイア近郊の浜に上陸します。アキレウスなどの活躍により、待ち構えたトロイア軍を撃退し、浜に陣を敷きます。トロイア軍は、トロイア王プリアモスの長子ヘクトールの指揮の下に、強固な城壁を持つ市内に籠城します。両軍は、海と市内の中間に流れるスカマンドロス河を挟んで対峙します。双方に犠牲を出しながら、九年が過ぎます。


■アキレウスの怒り

トロイア戦争の開始から十年目、アカイア軍は、光明神アポローンの神官であるクリューセースの娘クリューセーイスを捕らえます。神官クリューセースは娘を返してもらおうと貢物を携えてアカイア軍の陣地を訪れますが、アカイア勢はクリューセースを追い返します。クリューセースの祈りにより、アポローンが疫病を送り、アカイア軍陣地は修羅場に変じます。

アキレウスの発議により集会が持たれます。総大将アガメムノーンは、自分の戦利品となっていた娘クリューセーイスを神官クリューセースに返すことにやむを得ず同意しますが、その代償として、アキレウスの戦利品で愛妾のブリューセーイスを自分のものにします。理不尽な行為に腹をたてたアキレウスは、それ以降、集会にも戦闘にも参加しなくなります。

図は、ルーブル美術館所蔵『アガメムノーンから娘クリューセーイスを身請けしようとするクリューセース』です。


■パリスとメネラーオスの一騎打ち

アガメムノーンは、総攻撃を決意します。アカイア勢が美々しく隊伍を整えると、トロイア勢も攻撃準備を完了します。両軍がまさに激突しようとしたとき、トロイアの王子パリスが軍勢の先頭に現れます。スパルタ王メネラーオスは、仇敵の姿を見ると、喜び勇んで飛び出します。両者が一騎打ちを行うことになり、両軍の戦士は武装を解いて見守ります。しかし、女神アプロディーテーの介入によって勝負はうやむやになり、再び戦いが始まります。

図は、ポマリチ・サントマージ財団所蔵『武装するパリスとそれを見守るアポローン』です。


■パトロクロスの出陣と死

アカイア勢は、アキレウスを欠いても優勢に立っていましたが、英雄たちが傷ついたことをきっかけに総崩れとなり、陣地の中にまで攻め込まれます。これを見たパトロクロスは、出陣してアカイア勢を助けてくれるようアキレウスに頼みます。しかし、アキレウスは承知しません。そこでパトロクロスは、アキレウスの鎧を借り、ミュルミドーン人たちを率いて出陣します。

アキレウスの鎧を着たパトロクロスの活躍により、アカイア勢はトロイア勢を押し返します。しかし、パトロクロスはトロイア王プリアモスの長子ヘクトールに討たれ、アキレウスの鎧も奪われてしまいます。

図は、ベルリン旧博物館所蔵『矢疵を負ったパトロクロスを介抱するアキレウス』です。


■アキレウスの出陣

パトロクロスの死をアキレウスは深く嘆き、ヘクトールへの復讐のために出陣することを決心します。アキレウスの母である女神テティスは、アキレウスのために新しい鎧を用意し、アキレウスに授けます。

図は、ルーブル美術館所蔵『ヘーパイストスが新たに鍛造した武器をアキレウスに与えるテティス』です。


■ヘクトールの出陣

出陣したアキレウスは、トロイアの名だたる勇士たちを葬り去ります。形勢不利と見てトロイア勢が城内に逃げ去る中、門前に一人、ヘクトールが待ち構えます。

図は、ポマリチ・サントマージ財団所蔵『出陣の準備をする兄ヘクトールに神酒を献じる妹カッサンドーラ』です。


■ヘクトールとアキレウスの一騎打ち

アカイア勢とトロイア勢が見守る中、アキレウスとヘクトールの一騎打ちが始まります。ヘクトールはついに、アキレウスに討たれます。アキレウスはヘクトールの鎧を剥ぎ、遺体を戦車の後ろに繋いで引きずりまわします。復讐を遂げたアキレウスは、パトロクロスの霊をなぐさめるため、さまざまな賞品を賭けて競技会を開きます。

競技会が終わった後も、アキレウスはヘクトールの遺体を引きずりまわすことをやめません。ヘクトールの父プリアモスはこれを悲しみ、深夜アキレウスのもとを訪れ、息子の遺体を返してくれるように頼みます。アキレウスはプリアモスをいたわり、ヘクトールの遺体を返します。

図は、ルーブル美術館所蔵『ヘクトールの遺体を留め置くアキレウス』です。


■アマゾーンの女王ペンテシレイア

ヘクトール亡き後、トロイア勢は意気消沈しますが、アマゾーンの女王ペンテシレイアの加勢により、再び勢いを盛り返します。ペンテシレイアはアカイア勢の英雄たちをなぎ倒して暴れまわりますが、無謀にもアキレウスに挑戦し、命を落とします。アキレウスは遺体となったペンテシレイアの美貌に目を奪われ、殺してしまったことを後悔します。

図は、スペイン国立考古学博物館所蔵『アキレウスとペンテシレイアの戦い』です。


■アキレウスの最期

トロイアのスカイアイ門の前で戦っていたアキレウスは、急所のアキレス腱をトロイアの王子パリスに射られ、瀕死の重傷を負って倒れます。再び立ち上がって戦いますが、ついに死の運命が彼を捉えます。パリスをはじめとするトロイア勢は、アキレウスの遺体を奪おうとますが、アカイア勢のアイアースとオデュッセウスに阻まれます。アキレウスの遺体を確保して後、アキレウスの甲冑をめぐってオデュッセウスとアイアースが争い、オデュッセウスが勝ちを収めます。

図は、バイエルン州立古代美術博物館所蔵『アキレウスの遺体を運ぶアイアース』です。


■木馬

トロイアの勇将ヘクトールとアカイアの英雄アキレウスの死後、戦争は膠着状態に陥ります。しかし、アカイアの知将オデュッセウスは、巨大な木馬を造り、その内部に兵を潜ませるという作戦を考案します。

夜が明けると、アカイア勢は消えうせ、後に木馬が残されていました。欺かれたトロイア勢は、門を壊して木馬を市内に運び込み、アテーナーの神殿に奉納します。トロイア勢は宴会を開き、酔って眠りこけます。守衛さえも手薄になっていました。


■トロイアの陥落

トロイアの市民たちが寝静まった夜、木馬からオデュッセウスたちが出てきます。待避していたアカイア勢に計画どおり松明で合図を送り、彼らをトロイア市内へ引き入れます。酔って眠りこけていたトロイア勢は、反撃することができず、討たれてしまいます。トロイア王プリアモスも殺され、トロイアは滅亡します。

図は、ルーブル美術館所蔵『トロイアの陥落』です。


■戦後

スパルタ王メネラーオスは、ヘレネーを殺そうとしますが、殺す事ができません。ヘレネーを連れてスパルタへの帰途につきますが、途中で暴風に襲われてエジプトに漂着し、八年をかけて祖国へ帰還します。総大将アガメムノーンは、帰郷後、妻の愛人に暗殺されます。オデュッセウスは、故郷にたどりつくまで十年もの間、諸国を漂流します。

図は、ルーブル美術館所蔵『ヘレネーを討とうとするメネラーオス』です。メネラーオスは、ヘレネーの美貌に撃たれて剣を落とします。アプロディーテーとエロースがその様子を見ています。


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