ペンギン


ペンギンの分類

■ペンギンの分類と特徴

水鳥類は、海鳥や一部の渉禽類からなる系統群です。ペンギン目は、この水鳥類に含まれます。ペンギン目の姉妹群は、外洋性の海鳥であるミズナギドリ目です。

ペンギン目は、現生科に関しては単型です。つまり、ペンギン目にはペンギン科のみが属します。化石から、かつてはもっと多くの種類が存在したことがわかっています。ペンギン科には現在では六属十九種が属しています。

現生ペンギンのうち最小種はコガタペンギンで、体長約40センチメートルです。最大種はコウテイペンギンで、体長100~130センチメートルに達します。ただし、絶滅種のジャイアントペンギンなどはコウテイペンギンよりもさらに大型でした。

陸上では、多くの鳥類は胴体を前後に倒し首を起こす姿勢をとりますが、ペンギン類は胴体を垂直に立てます。翼は退化し、鰭(ひれ)状の「フリッパー」と化していて、飛ぶことができません。首が短く、他の鳥類とは一線を画す独特の体型をしています。

ペンギン類の独特の体型は、泳ぐことに特化しています。海中では翼(フリッパー)を羽ばたかせて泳ぎます。海中を自在に泳ぎ回る様子は「水中を飛ぶ」と形容されます。イルカのように海面でジャンプすることもあり、水中から陸上に戻るときにはいったん深く潜り、勢いを付けて飛び上がります。

陸上ではフリッパーをばたつかせながら歩く姿がよく知られていますが、氷上や砂浜などでは腹ばいになって滑ります。この滑走は「トボガン」と呼ばれます。


ペンギンの分布

■ペンギンの分布域

ペンギンは、南半球の広い緯度範囲に分布します。より大型のペンギンはより寒冷な地域に生息するのに対し、より小型のペンギンは温帯気候もしくはさらに熱帯気候の地域で見られます(ベルクマンの法則)。

主に南極大陸で繁殖するのは、コウテイペンギンとアデリーペンギンの二種のみです。ほとんどのペンギンは他の鳥類と同様に春から夏にかけて繁殖しますが、コウテイペンギンは氷点下60度に達する冬の南極大陸で繁殖します。そのため、世界で最も過酷な子育てをする鳥と言われます。

ジェンツーペンギン、マカロニペンギン、ヒゲペンギンの三種は、南極大陸の中でも比較的温暖な南極半島にも繁殖地がありますが、主な繁殖地は南極周辺の島です。

他の種類は南アメリカ、アフリカ南部、オーストラリア、ニュージーランド、南極周辺の島などに繁殖地があります。最も低緯度に棲むのは赤道直下のガラパゴス諸島に分布するガラパゴスペンギンです。これらの中・低緯度の繁殖地はいずれも、南極海周辺から寒流の流れて来る海域に面しています。


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■コウテイペンギン(ペンギン科・コウテイペンギン属)

コウテイペンギン(エンペラーペンギン)は、ペンギン科・コウテイペンギン属に分類される鳥類です。南極大陸で繁殖します。

現生のペンギンでは最大種です。体長100~130センチメートル、体重20~45キログラムに達します。

非繁殖期は、海上で群れを作って生活しています。潜水能力は鳥類最高で、水深500メートル以上の深さに20分以上潜るとも言われます。他のペンギンと同様に肉食性で、魚類、イカ、オキアミなどを捕食します。

南極では秋にあたる三月から四月の頃、群れは海を離れて氷原に上陸します。繁殖地は海岸から50~160キロメートルほど離れた内陸部にあります。

五月から六月にかけてメスは卵を一個だけ産みます。産卵により疲労しているメスは餌を求めて海へ向かい、繁殖地に残ったオスは卵を足の上に乗せ、抱卵嚢(ほうらんのう)と呼ばれる両肢の間のお腹のだぶついた皮を使って抱卵を始めます。

オスはブリザード(地吹雪)が吹き荒れて氷点下60度になる極寒の冬の氷原上で身を寄せ合い、抱卵を続けます。八月頃にはヒナが生まれます。

海へ行ったメスは、ヒナのための食物(オキアミなど)を胃に貯蔵して繁殖地へ戻り、食物を吐き出してヒナに与えます。オスは海に出て行き、同様に食物を胃に貯蔵して、数週間後に繁殖地へ戻ります。以後、オスとメスが交代でヒナの番と餌運びを行います。

ヒナの成長につれ、摂取する餌の量が増えていくと、オスとメスが両方とも海に出るようになります。

この頃、ヒナばかりが集まってクレイシュ(保育所)という集団を作ります。クレイシュは子育てを行っていない若鳥などに守られながら徐々に海岸へと移動します。ヒナが充分に成長する頃にはクレイシュも海岸に到達し、南極も夏を迎えます。


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■キングペンギン(ペンギン科・コウテイペンギン属)

キングペンギンは、ペンギン科・コウテイペンギン属に分類される鳥類です。繁殖地は、南大西洋およびインド洋の亜南極(南緯45~55度)の島々に点在します。

現生のペンギンでは、コウテイペンギンに次ぐ二番目の大型種です。体長85~95センチメートル、体重10~16キログラム程度です。

非繁殖期は、繁殖地周辺の外洋で群れを作って生活しています。322メートルの潜水記録があります。

南半球では初夏にあたる十二月半ばから一月頃になると、繁殖地の海岸に多くの親鳥が集まり、繁殖を始めます。ヒナを育てる途中で越冬するのが特徴で、繁殖期間が一年以上におよびます。

コウテイペンギンと同じく、産む卵は一個です。オスとメスが交代で卵を足の上にのせ、抱卵嚢(ほうらんのう)と呼ばれる腹部のだぶついた皮をかぶせて温めます。卵は54日ほどで孵化します。

夏の海は餌が多いので、オスとメスはこの機を活かしてヒナに多くの餌を与えます。給餌中の親は、昼夜を問わず潜水して餌取りを行い、ハダカイワシの仲間やタコ、イカを多く食べます。秋を迎える六月までには、ヒナの体重は成鳥の八割ほどになります。

しかし寒さが厳しくなると、親鳥はほぼ給餌をやめてしまい、二週間に一回ほどしかヒナに餌を与えなくなります。このため、ヒナは体に蓄えた脂肪を消費しながら寒さと飢えに耐えなければなりません。

ヒナはヒナ同士で集まるクレイシュ(保育所)を作り、身を寄せ合って寒さをしのぎます。春までにヒナの体重は半分にまで減少します。春となる九月頃には再び親鳥の給餌が始まります。ヒナが褐色の羽毛を換羽して巣立つのは、十月末から一月頃となります。


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■アデリーペンギン(ペンギン科・アデリーペンギン属)

アデリーペンギンは、ペンギン科・アデリーペンギン属に分類される鳥類です。種名は、十九世紀に南極に上陸したフランス人探検家デュモン・デュルヴィルの妻アデリーへの献名です。南極大陸の海岸部および周辺の島々で繁殖します。

体長60~70センチメートル、体重5.0キログラム程度の中型種です。くちばしの根元から先端近くまで羽毛でおおわれているので、くちばしが短いように見えますが、口を開けると目の前まで開きます。これは南極の厳しい寒さに適応した結果と考えられます。

非繁殖期は南極大陸の周辺海域で群れを作って生活し、オキアミなどの甲殻類や魚類を捕食します。

南極の初夏にあたる十月になると、親鳥が集まり、大きなコロニー(集団繁殖地)を形成します。繁殖地は海岸に近い岩場で、夏になると雪が解けて岩石が露出する場所に限られます。親鳥は小石を積み重ねて、火山のような形の巣を作ります。

メスが産卵するとまずオスが抱卵し、メスは海へ採餌に向かいます。ヒナが孵化するまでに約35日間かかりますが、途中で一度だけオスとメスが交代します。ヒナは茶色い産毛に包まれ、三週間から四週間ほどは巣にとどまって両親から給餌を受けます。

ヒナが成長すると、ヒナ同士が集まるクレイシュ(保育所)が形成され、親鳥はオス・メスとも海へ採餌に向かいます。クレイシュに来た親鳥は、鳴き声で自分のヒナを判別し、給餌を行います。ヒナが換羽し、成鳥と共に海に入るのは夏の終わりの二月頃です。


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■ジェンツーペンギン(ペンギン科・アデリーペンギン属)

ジェンツーペンギンは、ペンギン科・アデリーペンギン属に分類される鳥類です。ジェンツーとは異教徒を意味し、頭部の白い帯模様をターバンに見立てたものといわれます。生息域は南極周辺の海域ですが、アデリーペンギン属の中ではもっとも北に分布します。

現生のペンギンでは、コウテイペンギン、キングペンギンに次ぐ三番目の大型種です。体長75~90センチメートル、体重5.0~8.5キログラム程度です。

非繁殖期は海で生活しますが、繁殖地からあまり遠くへ行きません。ただし南極半島など寒さが厳しい地域では、冬には海岸から見られなくなります。他のペンギンと同様に肉食性で、おもにオキアミを捕食します。泳ぐ速度は時速36キロメートルに達し、最も速く泳ぐペンギンとされます。

アデリーペンギンと同様に、円形に石を積み上げて巣を作り、通常は卵を二個産みます。孵化までは35日ほどかかりますが、それまでは親鳥が毎日交代で抱卵します。孵化したヒナは、一カ月ほど巣にとどまって両親から給餌を受けます。

ヒナが成長すると、ヒナ同士の集団であるクレイシュ(保育所)が形成されます。ヒナはクレイシュの中で集団生活しながらなおも親鳥から給餌を受け、三カ月ほどかけて充分に成長します。ヒナは成鳥の羽毛に換羽してから、海へ旅立ちます。


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■マカロニペンギン(ペンギン科・マカロニペンギン属)

マカロニペンギンは、ペンギン科・マカロニペンギン属に分類される鳥類です。マカロニとは、十八世紀のイギリスの言葉で、当時のイタリアの最先端の流行を取り入れた伊達男を意味し、目の上に生えたオレンジ色の飾り羽にちなみます。

亜南極(南緯45~55度)から南極半島にかけて分布します。体長70センチメートル、体重5.0~6.0キログラム程度の中型種です。イカやオキアミなどの甲殻類を捕食します。

通常は卵を二個産みますが、最初の一個目の卵は放置してしまいます。抱卵の期間は34日程度です。


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■キンメペンギン(ペンギン科・キンメペンギン属)

キンメペンギンは、ペンギン科・キンメペンギン属に分類される鳥類です。ニュージーランドに生息します。

体長66~78センチメートル、体重5.0~8.0キログラム程度ですが、個体によっては80センチメートルを超えるものもあります。

食性は動物食で、魚類、イカなどを食べます。主に昼間に海岸から15キロメートルの沖に移動して採食します。水深100メートルにある網にかかった例があります。

コロニー(集団繁殖地)は形成しません。九月から十月頃に、密生した茂みの中にある地面の窪みに、二個の卵を産みます。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は39~51日です。ヒナは孵化してから十四週間で巣立ちます。


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■コガタペンギン(ペンギン科・コガタペンギン属)

コガタペンギンは、ペンギン科・コガタペンギン属に分類される鳥類です。フェアリーペンギン(妖精ペンギン)、ブルーペンギン(青ペンギン)とも呼ばれます。オーストラリア南部やニュージーランドで繁殖します。

ペンギンの中で最小種です。体長約40センチメートル、体重約1.0キログラムです。他のペンギンと違って、直立で歩行せずに、やや前傾姿勢で歩行します。このことから、最も原始的な種類のペンギンであると考えられています。

食性は動物食で、魚類やイカ等を主食とします。通常は海岸近くの草むらなどに巣を作りますが、シドニーなどの大都市近郊では海岸近くの民家の縁の下などに住む場合もあります。明け方に海へ出て、日没後に陸に上がります。


■フンボルトペンギン(ペンギン科・ンボルトペンギン属)

フンボルトペンギンは、ペンギン科・フンボルトペンギン属に分類される鳥類です。種名は、ドイツの地理学者であるアレクサンダー・フォン・フンボルトに由来します。

フンボルト海流が流れ込む南アメリカの沿岸地域に暮らしており、主にペルーのフォカ島(南緯5度)からチリのプニフィル島(南緯42度)にかけて繁殖しています。

体長約70センチメートルの中型種です。一生を巣と海を往復して過ごします。一般的にトンネルを掘って巣にするほか、海岸の洞窟や丸石の間などを利用します。ときには地表面に巣を作ることもあります。卵を二個産み、40日ほどで孵化します。

フンボルトペンギンは、日本で最も飼育数が多いペンギンです。その理由は、暑さに耐久力があることと、孵卵器でヒナを孵す技術や病気の治療法が確立されていることです。野生の生息数の一割以上を日本の水族館や動物園が飼育していると言われます。


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■ガラパゴスペンギン(ペンギン科・フンボルトペンギン属)

ガラパゴスペンギンは、ペンギン科・フンボルトペンギン属に分類される鳥類です。ガラパゴス諸島(エクアドル)の固有種です。フェルナンディナ島とイサベラ島で繁殖し、非繁殖期も繁殖地周辺で過ごします。

フンボルトペンギン属の最小種です。体長48~53センチメートル、体重1.7~2.6キログラム程度です。

食性は動物食で、主に魚類を食べます。昼間に採食を行い、夜間は陸上に上がって休みます。海上では多くの場合20~200羽の群れで採餌しますが、海水温が高く食物が少ない時期には単独か番いで行動し、群れを作ることはほとんどありません。

海岸に近い砂漠地帯の低地で繁殖します。単独で繁殖するか、もしくは小規模なコロニー(集団繁殖地)を形成します。海岸や岩の割れ目や洞窟などに、二個の卵を産みます。抱卵期間は38~40日です。ヒナは孵化してから60~65日で巣立ちます。


■参考:アホウドリ(ミズナギドリ目・アホウドリ科・キタアホウドリ属)

アホウドリ(阿呆鳥、信天翁)は、ミズナギドリ目・アホウドリ科・キタアホウドリ属に分類される鳥類です。ペンギン類に近縁の海鳥として参照します。

北太平洋において、夏季はベーリング海やアラスカ湾、アリューシャン列島周辺に渡り、冬季になると繁殖のため日本近海へ南下します。鳥島と尖閣諸島北小島・南小島でのみ繁殖が確認されています。

全長84~100センチメートル、翼開張190~240センチメートル、体重3.3~7.0キログラム程度です。高アスペクト比(細長)の翼は揚力に比べて相対的に誘導抵抗を減少させ、海上で発生する気流に乗るのに適しています。

海洋に生息します。食性は動物食で、魚類、甲殻類、軟体動物、動物の死骸を食べます。水面近くや水面に浮かんでいる獲物を、飛翔しながら水面に降りて捕らえます。

コロニー(集団繁殖地)を形成します。求愛の時は、頸部を伸ばしながら嘴を打ち鳴らします(クラッタリング)。十月から十一月に、斜面に窪みを掘った巣に、一個の卵を産みます。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は64~65日です。


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■参考:ガラパゴスコバネウ(ペリカン目・ウ科・ウ属)

ガラパゴスコバネウ(ガラパゴス小羽鵜)は、ペリカン目・ウ科・ウ属に分類される鳥類です。ペンギン類に近縁の海鳥として参照します。

ガラパゴス諸島(エクアドル)の固有種です。フェルナンディナ島とイサベラ島に生息します。定住性が強く、生まれ育った場所から半径1.0キロメートル以内で生涯を終えるものが多いとされます。

全長89~100センチメートル、翼長25センチメートル、体重2.5~4.0キログラム程度で、ウ科の最重種です。翼は短く、胸骨の竜骨突起は退化して発達しません。このため、飛翔することはできません。

海岸や沿岸に生息します。食性は動物食で、魚類、腕足類などを食べます。後肢を動かして潜水し、海底にいる獲物を捕え、水面にあがってから食べます。

小規模なコロニー(集団繁殖地)を形成します。三月から九月頃に海岸の岩棚などに海草を積み上げた巣を作り、二個から四個の卵を産みます。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は五週間です。

ヒナは孵化してから八週間で巣立ちますが、巣立ってから四週間は巣の周辺で生活し、父親から食物を与えられます。ヒナの羽毛が生えそろうのは約二カ月後です。


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