ハチドリ


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■ハチドリ

ハチドリは、アマツバメ目ハチドリ科の鳥類の総称です。アメリカ合衆国南西部からアルゼンチン北部にかけてのアメリカ大陸およびカリブ諸島に生息します。鳥類の中で最も体が小さいグループであり、体重は僅か2~20グラム程度しかありません。

毎秒約55回、最高で約80回の高速ではばたき、空中で静止するホバリング飛翔を行います。ハチと同様の羽音を立てるため、ハチドリ(蜂鳥)と名付けられました。英語のハミングバードもハチの羽音の擬音語に由来します。

花の蜜を主食としており、ホバリングで空中に静止しながら、花の中にクチバシをさしこみ、蜜を吸います。蜜を吸うためにクチバシは細長い形状をしています。足は退化しており、枝にとまることはできますが、歩くことはほとんどできません。

ハチドリは、蜜を好んで食したアマツバメの仲間の一部が、花から蜜を吸う生活様式に適応して、自然選択により現在のような姿に進化したと考えられています。

蜜を吸うためには、ハナバチのように花にとまって吸蜜するのが効率的です。しかし、鳥類の体の構造上、花にとまれるほどには、体を小さくできません。そこで、スズメガのようにホバリングしながら吸蜜できるように、ハチドリは胸筋や心肺機能を独自に進化させました。その結果、スズメガが生息する地域では、両者の動作が酷似するため、しばしば両者が見間違えられるほどです。


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■参考:スズメガ

スズメガ(雀蛾)とは、昆虫綱・鱗翅目(チョウ目)・スズメガ科に属する昆虫の総称です。成虫の四枚の翅は、体に対比して小さく、三角形になっています。これをすばやく羽ばたかせて、高速で移動します。その速度は、種類によっては時速50キロメートル以上に達します。

また、翅を素早く羽ばたかせて空中に静止(ホバリング)することもでき、その状態で樹液や花の蜜を吸引します。成虫の口吻の長さは種類によって様々で、それぞれ好みの花の蜜腺に届くような長さをしています。


ハチドリの系統分類

■ハチドリの系統分類

国際鳥類学会議 (IOC)の分類では、ハチドリ科に338種が属します。

上位分類:ハチドリ科は、アマツバメ亜目(アマツバメ科+カンムリアマツバメ科)と姉妹群です。アマツバメ亜目に対応して、ハチドリ科は単型のハチドリ亜目に属します。伝統的に、アマツバメ亜目とハチドリ亜目を合わせてアマツバメ目とします。

下位分類:ハチドリ科は、ハチドリ亜科と二つの姉妹群(カギハシハチドリ亜科、トパーズハチドリ亜科)に区分されます。しかし、ハチドリ亜科の内部に七つの大きな系統が確認され、ハチドリ科全体では、亜科と属の間のレベルに、九つの大きな系統が確認されています。

一)トパーズハチドリ系統(Topazes)
二)カギハシハチドリ系統(Hermits)
三)マンゴーハチドリ系統(Mangoes)
四)テリハチドリ系統(Brilliants)
五)カザリハチドリ系統(Coquettes)
六)オオハチドリ系統(Patagona)
七)シロメジリハチドリ系統(Mountain Gems)
八)マメハチドリ系統(Bees)
九)ヒメエメラルドハチドリ系統(Emeralds)


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■参考:ヨーロッパアマツバメ

ヨーロッパアマツバメ(学名:アプス・アプス)は、アマツバメ目アマツバメ科に分類される鳥類です。渡り鳥として、夏場はグレートブリテン島や北ヨーロッパで、冬場は南アフリカで過ごします。

体長は16~17センチメートルで、三日月形の長い翼と、短い尾を持ちます。学名の「アプス」は、「足がない」という意味のギリシア語に由来します。足がとても短く、垂直な面に立つ時にのみ足を使います。地面に降りることはほとんどありません。


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■クロハチドリ(Topazes系統)

ハチドリ科・トパーズハチドリ亜科・シロエリハチドリ属に分類される鳥類です。ブラジル東部、ウルグアイ、パラグアイ東部、アルゼンチン北東部などに生息します。


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■キバラユミハチドリ(Hermits系統)

ハチドリ科・カギハシハチドリ亜科・ユミハシハチドリ属に分類される鳥類です。コロンビア、エクアドル、ペルーなどに生息します。


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■オウギハチドリ(Mangoes系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・オウギハチドリ属に分類される鳥類です。アンティル諸島、グアドループ島、マルティニーク島などのカリブ諸島に生息します。


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■ヤリハシハチドリ(Brilliants系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・ヤリハシハチドリ属に分類される鳥類です。ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラに生息します。

ある種のハチドリは特定の植物と密接な関係をもっています。ヤリハシハチドリのクチバシは非常に長く、最長では全長10センチメートルを越えます。このような長いクチバシでないと、非常に長い花冠をもつトケイソウの一種パッシフロラ・ミクスタの蜜を吸うことができません。

このように一対一のペアを形成することにより、ヤリハシハチドリは他のハチドリや昆虫との食料をめぐる競争を回避することができます。一方パッシフロラ・ミクスタにとっては自分専用の花粉媒介者がいることで効率的に受粉することが可能です。このような双方にとっての利益があるため、特殊なペアが形成されたと考えられます。これは共進化の典型的な例とされます。


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■ホオカザリハチドリ(Coquettes系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・ホオカザリハチドリ属に分類される鳥類です。ベネズエラ東部、トリニダード、ギアナ、ブラジル北部に生息します。 全長約6.6センチメートル、体重約2.3グラムで、ハチドリ科の中でも小型の種です。


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■オオハチドリ(Patagona系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・オオハチドリ属に分類される鳥類です。コロンビア南西部からチリ中央部を経てアルゼンチンに至るアンデス山脈に生息します。

全長約21.5センチメートル、体重18~24グラムで、ハチドリ科の中では最大の種です。しかし、全長が同程度の他の鳥類と比較すると、体重が著しく軽量です。


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■フジノドシロメジリハチドリ(Mountain Gems系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・シロメジリハチドリ属に分類される鳥類です。ニカラグア南部、コスタリカ北部、パナマ西部の山地に生息します。


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■マメハチドリ(incertae sedis=上位分類群未定)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・マメハチドリ属に分類される鳥類です。キューバ本島および青年の島の固有種です。

全長4~6センチメートル、体重2グラムで、鳥類の中で最小・最軽量です。また、卵も長さ6.5ミリメートル、重量約0.3グラムで、同様に鳥類の中で最小・最軽量です。


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■クロスジオジロハチドリ(Emeralds系統)

ハチドリ科・ハチドリ亜科・オジロハチドリ属に分類される鳥類です。メキシコ南東部からパナマにかけての中米地域に生息します。


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