トクサとロボク


トクサ類の上位分類

■陸上植物におけるトクサ類の位置づけ

陸上植物とは、陸上に上がった緑色植物の系統を指します。コケ植物、シダ植物、種子植物が含まれます。これは、最も狭義の植物と同義です。世代交代を行い、配偶体の中で胞子体の胚が形成されることから、有胚植物とも呼ばれます。

陸上植物の中でトクサ類は、他のシダ類と形態が大きく異なることから、従来は独立したトクサ門として扱われていましたが、分子系統学からはシダ植物門に含められます。

現生の種は、トクサ綱・トクサ目・トクサ科・トクサ属(属名:エクイセトゥム)の15種のみです。トクサ、スギナなどを含みます。世界的に広く分布しますが、中心は北半球の温帯です。オーストラリアには分布しません。

トクサ類の他のグループには、化石としてのみ知られるロボクがあります。古生代・石炭紀(3億6000万~2億8000万年前頃)に栄えました。トクサ綱・トクサ目・ロボク科・ロボク属(属名:カラミテス)は、高さ10メートルにも達する高木でした。

なお、現生のトクサ類でも数メートルになるものがありますが、木(木本類)ではなく、草(草本類)に分類されます。

ロボク科は、古生代・ペルム紀(2億8000万~2億5000万年前頃)の後期に絶滅しますが、その頃に、現生のトクサ科に属する種がロボク科から分岐したと考えられています。


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■現生のトクサ科トクサ属の特徴

トクサ属の多くの種は、湿地に生育します。トクサ属は、常緑性のトクサ亜属と、夏緑性のスギナ亜属に二分されます。

高さは、多くは0.2~1.5メートル程度ですが、オオスギナは2.5メートル、ジャイアントトクサは5メートル、メキシコジャイアントトクサは8メートルにもなります。

植物体は、根・茎・葉が分化します。地下に匍匐茎を伸ばし、地上に直立する茎を出します。茎にははっきりとした節があり、節間の茎は中空です。茎は緑色で、ここが光合成の主力となります。

種によっては、節から細長い三角形、または癒合して袴(はかま)状の葉が生じます。また、中空の茎が輪生するものもあります。茎はさらに分岐することもあります。

茎の先端に胞子葉が集まって球果様の「胞子穂」を形成し、ここに胞子を生じます。胞子穂のつく「胞子茎」は、その他の「栄養茎」と別になっていることもあります。この胞子茎は分岐しないことが多く、またスギナの胞子茎であるツクシのように、光合成しないものもあります。


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■トクサ(学名:Equisetum hyemale)

トクサ(砥草、木賊)は、トクサ科・トクサ属・トクサ亜属の植物です。日本を含む北半球の温帯に広く分布します。高さは30~150センチメートル程度です。

山間の湿地に自生します。地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させます。茎は直立していて、同じトクサ科のスギナやイヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節があります。

茎は触るとザラついた感じがします。茎の表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化し、砥石のように茎でものを研ぐことができることから、「砥草」の名があります。

節の部分にはギザギザの袴(はかま)状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっています。この袴状のギザギザが葉に当たります。

茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができます。


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■スギナ(学名:Equisetum arvense)

スギナ(杉菜)は、トクサ科・トクサ属・スギナ亜属の植物です。日本を含む北半球の温帯に広く分布します。

浅い地下に地下茎を伸ばして繁茂します。春にツクシ(土筆)と呼ばれる胞子茎を出し、先端の胞子穂から胞子を放出します。胞子茎は薄茶色で、袴(はかま)と呼ばれる茶色で輪状の葉が茎を取り巻いています。高さは10~15センチメートル程度です。

ツクシの成長後に、それとは全く外見の異なる栄養茎を伸ばします。栄養茎は茎と葉からなり、光合成を行います。鮮やかな緑色で、高さは10~40センチメートル程度です。主軸の節ごとに関節のある緑色の棒状の葉を輪生させます。上の節ほどその葉が短いので、全体を見るとスギの樹形に似ていることから、「杉菜」の名があります。


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■オオスギナ(学名:Equisetum_telmateia)

オオスギナは、トクサ科トクサ属スギナ亜属の植物です。ヨーロッパ、アジア西部、アフリカ北西部に分布する亜種と、北アメリカ西部に分布する亜種があります。高さは通常0.3~1.5メートル、まれに2.5メートルに達します。


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■ジャイアントトクサ(学名:Equisetum giganteum)

ジャイアントトクサは、トクサ科・トクサ属・トクサ亜属の植物です。中南米に分布します。高さは2~5メートルに達します。


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■メキシコジャイアントトクサ(学名:Equisetum_myriochaetum)

メキシコジャイアントトクサは、トクサ科・トクサ属・トクサ亜属の植物です。メキシコをはじめとした中南米に分布します。高さは通常5メートル程度、最高で8メートルに達します。


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■ロボク科ロボク属(カラミテス属)の化石

ロボク属(カラミテス属)は、石炭紀に栄え、石炭とともに見出される化石としてのみ知られる木本様植物の一群です。トクサ綱トクサ目ロボク科に属し、現生のトクサ科に近縁です。

ロボク(蘆木)は高さ10メートルにも達する高木で、リンボク(鱗木)などと共に、石炭紀の沼沢地に群生していたと考えられます。幹にはタケのような節があり、そこに茎と細長い葉が輪生し、茎の先端の胞子穂に胞子を作って繁殖しました。地下茎を横に伸ばし、これによって無性生殖をすることも可能でした。


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■ロボク科アンヌラリア属の化石

アンヌラリア属は、トクサ綱トクサ目ロボク科に属します。ロボク科はすべて、古生代石炭紀の化石植物からなり、現生のトクサ科に近縁です。


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■ロボク科アステロフィリテス属の化石

アステロフィリテス属は、トクサ綱トクサ目ロボク科に属します。ロボク科はすべて、古生代石炭紀の化石植物からなり、現生のトクサ科に近縁です。


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