局部銀河群


■局部銀河群

局部銀河群とは、地球の所属する天の川銀河(銀河系)が所属する銀河群のことです。

局部銀河群の中で最も大きい銀河はアンドロメダ銀河で、最も重い銀河は天の川銀河と考えられています。両銀河の周辺には、その重力に引かれて、多くの伴銀河が存在します。

画像(ESO著作物)は、ヨーロッパ南天天文台ESOのパラナル天文台(チリ)の上空に現れた天の川銀河の中心部です。地上に見える建物は、超大型望遠鏡VLTを構成する四台の望遠鏡のうち三台です。


■局部銀河群に所属する主な銀河

局部銀河群(The Local Group)という用語は、アメリカ合衆国の天文学者エドウィン・ハッブルが著書『The Realm of the Nebulae』(1936年)の中で提唱しました。この本の中で局部銀河群としてハッブルがあげたのは、光度が高い順に以下の11の銀河でした。

ハッブルはこの本の中でさらに、カシオペア座の不規則銀河IC10も、局部銀河群に所属している可能性があるとしました。

局部銀河群には現在、天の川銀河を含め、大小およそ40以上の銀河の所属が確認されています。まだ無数の未発見の矮小銀河が存在していて、その数は10,000に達するとも言われています。


■天の川銀河(一)

天の川銀河(銀河系)とは、人類の住む地球および太陽系を含む銀河のことです。地球から見えるその帯状の姿は「天の川」「銀漢(ぎんかん)」「ミルキーウェイ」などと呼ばれています。

画像は、近赤外線天文観測プロジェクト「2MASS(2ミクロン全天走査)」の観測データに基づく、天の川銀河の赤外線画像です。

2MASSプロジェクトのスポンサーは、マサチューセッツ大学(UMass)、NASAジェット推進研究所(JPL)とカリフォルニア工科大学(Caltech)が運営する赤外線画像処理・分析センター、アメリカ航空宇宙局(NASA)、およびアメリカ国立科学財団(NSF)です。


■天の川銀河(二)

天の川銀河は、近年の研究によれば、ハッブル分類で SBbc に分類される棒渦巻銀河とされます。年齢は約129億年と見積もられています。

天の川銀河は、多くの銀河と同様、数多くの恒星や星間ガスなどの天体の集まりで、総質量は太陽質量の6000億~3兆倍であり、2000~4000億個の恒星が含まれていると考えられています。

中央には比較的古い恒星からなる密度の高いバルジがあり、それを取り巻くように若い恒星や星間物質からなるディスクがあります。ディスクの直径は8~10万光年と見積もられています。

バルジとディスクのさらに外側には、約130個の球状星団などからなる直径25~40万光年の球形のハローが存在します。

天の川銀河の中心には、多くの銀河と同様、非常に大きな質量を持つコンパクトな天体が存在しており、大質量ブラックホールである可能性が高いと考えられています。

画像(NASA著作物)は、天の川銀河の想像図です。


■大マゼラン雲LMCと小マゼラン雲SMC

大マゼラン雲と小マゼラン雲は共に、局部銀河群に属する矮小銀河で、天の川銀河の伴銀河です。互いには7.5万光年離れており、地球からは21度離れて見えます。

大マゼラン雲は、かじき座からテーブルさん座にかけて位置し、地球からの距離は約16万光年、直径は約1.5万光年とされます。

小マゼラン雲(NGC292)は、きょしちょう座に位置し、地球からの距離は約20万光年、直径は約1.5万光年とされます。

両マゼラン雲の形態は不規則銀河ですが、わずかに棒構造や渦巻構造の痕跡が見られます。このことから、かつては棒渦巻銀河であったものが、親銀河である天の川銀河との相互作用によって変形を受けて現在の形状になったと考える研究者もいます。

両マゼラン雲は、将来的には天の川銀河と合体すると考えられています。矮小銀河である両マゼラン雲から天の川銀河へと弧を描く、重力に引き寄せられた水素の流れが、この理論の証拠とされます。

画像(ESO著作物)は、大マゼラン雲LMCと小マゼラン雲SMCです。


■アンドロメダ銀河M31

アンドロメダ銀河M31(NGC224)は、局部銀河群で最大の銀河です。アンドロメダ座に位置し、地球からの距離は約254万光年、直径は22〜26万光年とされます。

アンドロメダ銀河は、およそ1兆個の恒星から成る渦巻銀河です。バルジに二つの巨大ブラックホールが存在し、連星系を成しているとされます。また、我々の銀河系のバルジと比べて、ガスや暗黒物質が非常に少ないことが知られています。

アンドロメダ銀河のスペクトルは青方偏移を持ち、我々の銀河系に対して秒速約300キロメートルで接近しています。約30億年後にはこの二つの銀河は衝突して合体し、一つの巨大な楕円銀河を形成すると予想されています。

画像(NASA/JPL-Caltech著作物)は、紫外線で撮影された、アンドロメダ銀河M31です。


■アンドロメダ銀河の伴銀河M32およびM110

アンドロメダ銀河M31の周辺に、伴銀河M32およびM110があります。これらの伴銀河は、いずれアンドロメダ銀河と衝突し、吸収されてしまうと考えられています。

M32(NGC221)は、アンドロメダ座に位置する楕円銀河です。地球からの距離は約249万光年、直径は約0.8万光年とされます。

M110(NGC205)は、アンドロメダ座に位置する楕円銀河です。地球からの距離は約269万光年、直径は約1.5万光年とされます。

画像(NASA著作物)は、可視光で撮影された、アンドロメダ銀河M31と伴銀河M32およびM110です。


■さんかく座銀河M33

さんかく座銀河M33(NGC598)は、局部銀河群に属する渦巻銀河です。さんかく座に位置し、地球から距離は238~307万光年、直径は5~6万光年とされます。

さんかく座銀河は、アンドロメダ銀河と天の川銀河に次いで、局部銀河群のなかで三番目に大きな銀河です。およそ400億個の恒星が含まれていると考えられています。

画像(NASA/JPL-Caltech著作物)は、紫外線で撮影された、さんかく座銀河M33です。


■いて座の不規則銀河NGC6822(バーナードの銀河)

銀河NGC6822 は、局部銀河群に属する、棒状構造の見られる不規則銀河です。いて座に位置し、地球からの距離は約163万光年、直径は約0.6万光年とされます。

この銀河は1881年に、アメリカ合衆国の天文学者エドワード・エマーソン・バーナードによって発見されました。発見者の名前をとって「バーナードの銀河」と呼ばれます。

画像(ESO著作物)は、いて座の不規則銀河NGC6822(バーナードの銀河)です。


■くじら座の不規則矮小銀河IC1613

銀河IC1613は、局部銀河群に属する、不規則矮小銀河です。くじら座に位置し、地球からの距離は約238万光年、直径は約1万光年とされます。

この銀河は1906年に、ドイツの天文学者マックス・ヴォルフによって発見されました。

画像(NASA/JPL-Caltech著作物)は、紫外線で撮影された、くじら座の不規則矮小銀河IC1613です。


■カシオペア座の不規則銀河IC10

銀河IC10は、局部銀河群に属する、不規則銀河です。また、知られている限り、局部銀河群のなかで唯一のスターバースト銀河です。カシオペア座に位置し、地球からの距離は約220万光年とされます。

この銀河は1887年に、アメリカ合衆国の天文学者ルイス・スウィフトによって発見されました。1962年に、我々の銀河系に対して秒速約350キロメートルで接近していることが観測され、ハッブルの予想通り局部銀河群に属していることが確認されました。

画像は、カシオペア座の不規則銀河IC10です。


◇LINK:講座72「銀河の形態分類」もご参照ください。


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