オリオン大星雲


■オリオン大星雲の位置

オリオン大星雲M42(NGC1976)は、オリオン座の三ツ星(帯)の南の小三ツ星(剣)の中央に位置する散光星雲です。地球からの距離は約1600光年、実直径は約33光年、視直径は約60分(満月の約2倍)とされます。

画像(NASA/ESA著作物)は、オリオン座と、冬の大三角(こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウス)です。


■オリオン大星雲と周辺

画像(撮影者:Hunter Wilson)は、右がオリオン大星雲M42とその延長部M43、左がランニングマン星雲NGC1977です。この画像では、天の北極は左方向になります。


■ギリシア神話のオリオン(一)

ギリシア神話においてオリオンは、海神ポセイドンの息子です。非常な豪腕の持ち主で、太い棍棒を使って野山の獣を狩る猟師でした。

狩猟の女神であるアルテミスと、ギリシア随一の狩人であるオリオンは、次第に仲良くなります。しかし、アルテミスの双子の兄弟であるアポロンは、二人の関係を快く思いませんでした。

策略によってオリオンの許に毒サソリが現れ、驚いたオリオンは海へと逃げます。アポロンはアルテミスに、海に入って頭部だけ水面に出しているオリオンを指さして「あれを射ることができるかい」と挑発します。

オリオンは遠くにいたため、アルテミスはそれがオリオンだとは気づきません。アルテミスは矢を放ち、オリオンは矢に射られて死にます。アルテミスがオリオンの死を知ったのは、翌日にオリオンの遺骸が浜辺に打ち上げられてからでした。

アルテミスは後に神となった医師アスクレピオスを訪ねて、オリオンの復活を依頼しますが、冥府の王ハデスがそれに異を唱えます。

画像は、ダニエル・ザイター作『オリオンの遺骸に寄り添うディアナ』(ルーヴル美術館所蔵)です。ローマ神話の女神ディアナはギリシア神話のアルテミスと同一視されます。


■ギリシア神話のオリオン(二)

アルテミスは父であり神々の長であるゼウスにオリオンの復活を願いますが、ゼウスも死者の復活を認めることはできません。代わりに、オリオンを天にあげ、星座とすることでアルテミスを慰めました。オリオンは今も、月に一度会いに来るアルテミス(月神)を楽しみに待っているとされます。

アポロンが謀ってオリオンを襲わせ、彼が海に入る原因となったサソリは、さそり座となりました。そのためオリオン座は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げて西に沈んでいくとされます。

画像は、ライデン大学所蔵の九世紀の装飾写本『ライデン・アラーテア』の挿画「オリオン座とうさぎ座」です。『アラーテア』とは、紀元前三世紀に活躍した古代ギリシアの詩人アラトスの著書『現象』のラテン語訳本のことです。


■ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したオリオン大星雲

画像(NASA/ESA著作物)は、ハッブル宇宙望遠鏡の105回の地球周回によって得られた、オリオン大星雲のモザイク画像です。満月の視直径(0.5度)とほぼ同等の範囲をカバーしています。

散光星雲とは、比較的広い範囲に広がったガスや宇宙塵のまとまりで、可視光によって観測できる天体です。自ら発光している輝線星雲と、近くにある恒星の光に照らされて見える反射星雲の二種が区別されます。オリオン大星雲は、この二種が混在している散光星雲の代表例とされます。


■散光星雲M43

散光星雲M43(NGC1982)は、オリオン大星雲M42のすぐ北側に位置する、同一の星雲の延長部です。M43は鳥の頭部に、M42は広げた翼に例えられます。M43の中心部には恒星があり、東側には暗黒物質が横切っています。

フランスの科学者ジャン=ジャック・ドルトゥス・ド・メランが1731年にオリオン大星雲に接した星雲を発見し「オリオンの輝く部分に近く、もうひとつの星があり、同じような光につつまれている」と記しました。

画像(NASA/ESA著作物)は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したオリオン大星雲のモザイク画像の左上の部分です。散光星雲M43が画面いっぱいにクローズアップされています。


■トラペジウム(一)

オリオン大星雲の最も明るい中心部には、四重星「トラペジウム 」を主要な構成メンバーとする、年齢100万年とされる非常に若い星からなる散開星団があります。

オリオン大星雲の中にはさらに、塵の円盤(原始惑星系円盤)に包まれた星が多数発見されています。これらの星は周囲に惑星系が形成される非常に初期の段階にあるものと考えられています。

画像(NASA/ESA著作物)は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したオリオン大星雲のモザイク画像の中央左上の部分です。画面中央の明るい四つの星がトラペジウムです。トラペジウムと画面右下角を結んだ中間付近にある暗い微小な染みと、画面左下の二つの明るい星の上にある白っぽい円形の染みは、原始惑星系円盤であるとされます。


■トラペジウム(二)

画像(ESO著作物)は、超大型望遠鏡VLTが赤外線で撮影した、オリオン大星雲の中心部のモザイク画像です。前掲のトラペジウムの画像(NASA/ESA著作物)とほぼ同等の範囲をカバーしています。画面中央の明るい四つの星が、トラペジウムです。


■青色巨星と恒星風

恒星風とは、恒星表面から吹き出すガスの流れのことです。恒星は自分自身の重力によってガスを保持していますが、表面でガスの圧力や輻射圧(光圧)などが高くなることによって一部のガスが重力を振り切って恒星から放出されます。

青色巨星のような大質量星においては、星の表面が高温であるためガスの圧力や輻射圧が高く、恒星風が強くなります。このような星が恒星風によって水素の外層を失ったと考えられるのが、ウォルフ・ライエ星です。

画像(NASA/ESA著作物)は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したオリオン大星雲のモザイク画像の中央右下の部分です。画面左下および中央左上寄りの二つの明るい星の周囲にそれぞれ、曲線を描く恒星風が見られます。


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