プレアデス星団(すばる)


■プレアデス星団の位置

プレアデス星団(M45)は、おうし座の「雄牛の首」のあたりに位置する散開星団です。地球からの距離は約400光年、実直径は約12光年、視直径は約110分(満月の約3.7倍)とされます。

漢名では「昴(ぼう)」、和名では「すばる」と呼ばれます。比較的近距離にある散開星団であるため、肉眼でも輝く五個から七個の星の集まりを見ることができます。狭い範囲に小さな星が密集した特異な景観を呈しており、このため昔から多くの記録に登場し、各民族で星座神話が作られてきました。

なお、おうし座の「雄牛の顔」のあたりにはもう一つの散開星団であるヒアデス星団が位置しています。ギリシア神話では、ヒアデスは巨人アトラスとアエトラの間に生まれた七人姉妹とされており、プレアデスの七人姉妹とは異母姉妹の関係にあります。


■プレアデス星団の景観

画像(NASA/ESA/AURA/Caltech著作物)は、プレアデス星団の着色合成画像です。 プレアデス星団は、約6000万~1億歳とされる年齢の若い青白い高温の星の集団です。核融合の速度が速いため、寿命は比較的短いと予想されています。

星団を構成する星の周囲には青白く輝くガスが広がっています。これは、星々とはもともと関係のない星間ガスが、星団の光を反射しているためです。


■ギリシア神話のプレアデス(一)

ギリシア神話においてプレアデス(プレイアデス)は、ティタン族のアトラスと、海のニュムペであるプレイオネとの間に生まれた七人姉妹です。

プレアデス星団で特に明るく輝いているのは、六つの星だけだとされます。七つ目の輝きの鈍い星は、人間と交わったことを恥じるメローペであるとも、ダルダノスの死を悼むエレクトラであるとも、また、アステローペであるともいわれます。

画像は、エリュー・ヴェッダー作『プレアデス』(メトロポリタン美術館所蔵)です。


■ギリシア神話のプレアデス(二)

姉妹の父であるアトラスが天を背負う役目を負わされた後、オリオンがプレアデス全員を追いかけ回すようになります。ゼウスは彼女らを、初めはハトに、ついでその父を慰められるよう星に変えます。オリオン座はいまだプレアデス星団を追って夜空を回っているとされます。

プレアデスは主に冬の星であり、古代の農業暦において非常に大きな役割を果たしていました。古代ギリシアの詩人ヘシオドスは叙事詩『仕事と日』の中で「そして、もし嵐の海を渡ろうという望みがおまえを捕らえたとしても、プレアデスが強大なオリオンを避けて深い霧の奥に潜り、激しい風が荒れ狂うなら、おまえの船を暗紅色の海に出してはならない。そうではなく、私の言葉のとおり、忘れずに地を耕すのだ」と語っています。

画像は、ライデン大学所蔵の九世紀の装飾写本『ライデン・アラーテア』の挿画「プレアデス」です。『アラーテア』とは、紀元前三世紀に活躍した古代ギリシアの詩人アラトスの著書『現象』のラテン語訳本のことです。


■ネブラ・ディスク

ネブラ・ディスクとは、2002年にドイツ中央部、ザーレラン地方の街で発見された、直径約32センチメートルの青銅製の円盤です。

ドイツの研究チームが2005年に、約3600年前に作られた人類最古の天文盤であると結論づけました。盤の上には金の装飾で太陽、月、プレアデス星団がかたどられ、太陽暦と太陰暦を組み合わせた天文時計とされます。


■プレアデス星団のマップ

前掲のプレアデス星団の着色合成画像(NASA/ESA/AURA/Caltech著作物)に、方位と距離と恒星の固有名を添え書きします。

プレアデス星団の明るい星を結ぶと、おおぐま座の北斗七星や、こぐま座の小北斗七星と似た、柄杓の形になります。

また、少しデフォルメすると、『ライデン・アラーテア』や『ネブラ・ディスク』に見られるような、長女マイアが中心に居て、六人の妹たちが六角形で囲んでいるシンボルになります。


■メローペ星雲NGC1435

メローペ星雲NGC1435は、プレアデス星団の四等星メローペの周囲に見られる反射星雲です。ドイツの天文学者ヴィルヘルム・テンペルによって1859年に発見されました。視直径が満月程度(0.5度)の非常に淡い星雲とされます。

反射星雲は、プレアデス星団のメローペ以外の星の周囲にも認められます。反射星雲として輝いている塵粒子は、以前は、星団が形成された分子雲の残滓であるとされました。

しかし、約6000万~1億歳とされる星団の年齢からすると、もともと星の周囲に存在した塵粒子は、輻射圧によってとっくに消散しているはずです。現在では、星団が偶然に星間物質の塵がきわめて多い場所(一説では超新星爆発の残骸)を通過していると考えられています。

画像(NASA/JPL-Caltech著作物)は、スピッツァー宇宙望遠鏡が赤外線で撮影した、プレアデス星団です。塵粒子は、明るい星の周囲だけでなく、プレアデス星団と無関係に広範囲に存在していることが分かります。


■バーナードのメローペ星雲IC349

バーナードのメローペ星雲IC349は、メローペ星雲NGC1453の中にある小さな明るい密集部です。アメリカ合衆国の天文学者エドワード・エマーソン・バーナードによって1890年に発見されました。この小さな反射星雲は、恒星メローペの南東0.06光年に位置します。

画像(NASA著作物)は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した星雲IC349です。恒星メローペは画面外のすぐ右上に位置します。その星から発するように見える画面右上の多彩な光線は望遠鏡内で発生したフレアです。しかし、画面の左下から右上へ平行に伸びる細い束は現実の天体構造で、ハッブル宇宙望遠鏡がはじめて明示しました。


■プレアデス星団のエックス線画像

画像(NASA著作物)は、エックス線観測衛星ROSATがエックス線で撮影した、プレアデス星団です。最も明るく見える領域は、最も高温の環境であることを意味します。緑色の正方形は、可視光で最も明るい七つの星の位置を示します。


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