クリスマス・キャロルの代表曲


■クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロルは、キリスト降誕や降誕祭の頃の風物などを主題とした伝統的な歌謡です。キャロルは、もともとは収穫祭や降誕祭などで歌われる共同体の祝歌でした。

十九世紀以降になると、クリスマス・キャロルに対する関心が高まり、それと共に、歌詞の印刷出版や新しい作詞などが行われてきました。

画像は、ムィコーラ・プィモネーンコ作「祝歌(キャロル)」です。クリスマス・イヴに街の家々を訪ねてキャロルを歌う子供たちが描かれています。

以下に、代表的な四曲のクリスマス・キャロルについて概観します。これら四曲は共に、新約聖書『ルカによる福音書』第二章に記された、キリスト降誕を告げる天使と礼拝に向かう羊飼いを主題としています。

「Les Anges dans nos Campagnes」は、フランス南部ラングドック地方に十八世紀以前から伝わるフランス語のキャロルです。英語では「Angels We Have Heard on High」と題する1862年にジェイムズ・チャドウィックが翻訳した歌詞が広く歌われています。日本語では「天のみつかいの」または「荒野の果てに」と題されています。

「The First Noel」は、イギリス西部コーンウォール州に十八世紀以前から伝わる英語のキャロルです。ウィリアム・サンディーズが1823年および1833年に刊行して以来、世界に広まりました。日本語では「牧人羊を」と題されています。

「Stille Nacht, heilige Nacht」は、1818年にヨゼフ・モールが作詞、フランツ・クサーヴァー・グルーバーが作曲したドイツ語のキャロルです。同年のクリスマス・イヴにオーストリア中西部ザルツブルク州の小都市オーベルンドルフの聖ニコラウス教会で初演されました。英語では「Silent Night」、日本語では「聖しこの夜」と題されています。

「Adeste Fideles」は、由来未詳のラテン語のキャロルです。1751年と1760年にこの曲を刊行したイギリス人のジョン・フランシス・ウェードの作曲とされることがありますが、ウェードより以前に遡る最古の手稿がポルトガル王立図書館で見つかっています。英語では「O Come All Ye Faithful」、日本語では「神のみ子は今宵しも」と題されています。


■LES ANGES DANS NOS CAMPAGNES(天のみつかいの)

Les anges dans nos campagnes,
天使たちが野辺で
Ont entonné l'hymne des cieux ;
天上の賛歌をうたい始めた
Et l'écho de nos montagnes
山々からの木魂(こだま)は
Redit ce chant mélodieux :
心地よい歌を繰り返す
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように

Bergers, pour qui cette fête ?
羊飼たちよ、この祝宴は誰のためか?
Quel est l'objet de tous ces chants ?
これらの歌のすべては何のためか?
Quel vainqueur ? quelle conquête ?
どんな勝利者、どんな偉業が
Mérite ces cris triomphants :
この凱旋の歓呼にふさわしいのか?
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように

Cherchons tous l'heureux village
幸いな村を捜し求めよう
Qui l'a vu naître sous ses toits ;
その家であの方の誕生を見た村を
Offrons-lui le tendre hommage,
あの方に親愛に満ちた敬意を捧げよう
Et de nos cœurs et de nos voix :
私たちの心と声を尽くして
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように
Gloria in excelsis Deo
天においては神に栄光があるように

画像は、ホーファールト・フリンク作「キリストの降誕を羊飼いに告げる天使」です。

◇LINK (new):http://www.youtube.com/watch?v=RrSy-P4lFTk


■THE FIRST NOEL(牧人羊を)

The first Nowell the angels did say
天使たちが最初に降誕の祝いを言ったのは
Was to certain poor shepherds in fields as they lay;
野辺に横たわる貧しい羊飼いたちに対してだった
In fields where they lay, keeping their sheep,
野辺で羊飼いたちは横たわり、羊を守っていた
On a cold winter's night that was so deep:
それは寒い冬の夜更けだった
Nowell, Nowell, Nowell, Nowell,
おめでとう、おめでとう、おめでとう、おめでとう
Born is the King of Israel.
イスラエルの王がお生まれになった

They looked up and saw a star,
羊飼いたちは空を見上げ、星を見た
Shining in the east, beyond them far:
星は東の空の遠い彼方に輝き
And to the earth it gave great light,
地上へ偉大な光をもたらした
And so it continued both day and night:
そして、それは昼も夜も続いた
Nowell, Nowell, Nowell, Nowell,
おめでとう、おめでとう、おめでとう、おめでとう
Born is the King of Israel.
イスラエルの王がお生まれになった

Then let us all with one accord
さあ、私たちは声を合わせて
Sing praises to our heavenly Lord
天の主に賛歌を捧げよう
That hath made heaven and earth of nought,
主は天と、卑しいものたちの地をお創りになり
And with his blood mankind hath bought:
その血をもって人類をあがなってくださった
Nowell, Nowell, Nowell, Nowell,
おめでとう、おめでとう、おめでとう、おめでとう
Born is the King of Israel.
イスラエルの王がお生まれになった

画像は、ジョット・ディ・ボンドーネ作「キリストの降誕」です。

◇LINK (new):http://www.youtube.com/watch?v=lUMzIKCPFtM


■STILLE NACHT, HEILIGE NACHT(聖しこの夜)

Stille Nacht, heilige Nacht!
静まった夜、清らかな夜
Alles schläft, einsam wacht
皆が眠り、目覚めているのは
Nur das traute, hochheilige Paar.
睦まじい清らかな夫婦だけ
Holder Knabe im lockigen Haar,
巻き毛の愛らしい幼児(おさなご)よ
Schlaf in himmlischer Ruh,
天上の安らぎのなかで眠れ
Schlaf in himmlischer Ruh.
天上の安らぎのなかで眠れ

Stille Nacht, heilige Nacht!
静まった夜、清らかな夜
Gottes Sohn, o wie lacht
神の御子よ、なんという微笑(ほほえみ)
Lieb aus deinem göttlichen Mund,
あなたの神々しい口元からあふれる愛
Da uns schlägt die rettende Stund,
それによって私たちに救いの時が告げられる
Christ, in deiner Geburt,
キリストよ、あなたがお生まれになった時に
Christ, in deiner Geburt.
キリストよ、あなたがお生まれになった時に

Stille Nacht, Heilige Nacht!
静まった夜、清らかな夜
Hirten erst kundgemacht,
羊飼いたちが最初に知らせを受けた
Durch der Engel Halleluja.
天使たちのハレルヤによって
Tönt es laut von fern und nah:
それは遠くからも近くからも高らかに響き渡る
Christ, der Retter ist da,
救世主キリストがここにおられる
Christ, der Retter ist da!
救世主キリストがここにおられる

画像は、ヘールトヘン・トット・シント・ヤンス作「キリストの降誕」です。

◇LINK (new):http://www.youtube.com/watch?v=vbHpISXAtuY


■ADESTE FIDELS(神のみ子は今宵しも)

Adeste fideles laeti triumphantes,
行け、喜び勝ち誇った信徒たちよ
Venite, venite in Bethlehem.
来たれ、来たれ、ベツレヘムへ
Natum videte regem angelorum:
お生まれになった天使たちの王を見よ
Venite adoremus, venite adoremus,
来たれ、礼拝しよう、来たれ、礼拝しよう
Venite adoremus Dominum.
来たれ、主を礼拝しよう

Deum de Deo, lumen de lumine
神からの神、光からの光
Gestant puellæ viscera.
乙女の胎に宿った方
Deum verum, genitum non factum.
真正の神、造られることなく生まれた方
Venite adoremus, venite adoremus,
来たれ、礼拝しよう、来たれ、礼拝しよう
Venite adoremus Dominum.
来たれ、主を礼拝しよう

画像は、ジョット・ディ・ボンドーネ作「東方三博士の礼拝」です。

◇LINK (new):http://www.youtube.com/watch?v=HiMuelud5uA&feature=fvwrel


■参考:新約聖書『ルカによる福音書』第二章1~21節

そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。

ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。

ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。

その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。

天使は言った:「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである」。

すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った:「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」。

天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。

その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。

羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。

八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。


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